東日本太平洋沖合で発生する津波を津波計(水圧計)で直接検知し、従来よりも精度の高い迅速な津波の予測に貢献します。例えば日本海溝付近で津波が発生した場合、これまでより20分程早く津波を実測・検知して情報発信、沿岸へ到達前に津波高を高精度に即時予測することを可能にします。また、日本海溝付近で発生した地震の場合、これまでより30秒程早く地震動を早期検知して情報発信、緊急地震速報の高度化、早期の避難行動等被害の軽減に貢献します。
(左図)地震の早期検知イメージ図
(右図)津波の早期検知イメージ図
また、海底観測網の各点に到達する地震動と津波の伝播の様子を直接捉えて、実況中継と予測が可能となり、津波予測技術の高度化の研究に貢献します。
(左図)陸上にある観測網のみによる検知イメージ図
(右図)日本海溝海底地震津波観測網完成後の検知イメージ図
陸上にある観測網のみでみる地震波伝播のシミュレーション(防災科学技術研究所地震・火山防災研究ユニット主任研究員 齊藤竜彦)
日本海溝海底地震津波観測網完成後の地震波伝播のシミュレーション(防災科学技術研究所地震・火山防災研究ユニット主任研究員 齊藤竜彦)
日本海溝海底地震津波観測網で東北地方太平洋沖地震と同等の地震によって発生する津波を観測する様子(防災科学技術研究所地震・火山防災研究ユニット主任研究員 齊藤竜彦)
沈み込む太平洋プレートと陸のプレートとの境界(日本海溝)を挟み観測網が展開され、リアルタイムの連続データが取得されます。これにより、従来の陸域の観測網では困難な海底下の詳しい地震活動や地殻上下変動の調査解析が可能となり、海域の地震像の解明に貢献します。
地震・津波防災の観点からすると、より迅速で正確な情報伝達、予報・警報の発信によって時間的裕度の確保、つまり防災・減災に必要な時間をできる限り多く確保することが重要となります。
海底地震津波観測網は避難対策や手段の検討、防災計画の立案を身近なものとし、災害に強い安全・安心なまちづくりに貢献する重要な役割を担っています。