報 道 関 係 各 位
科学技術庁防災科学技術研究所(所長:片山恒雄)は、有珠山の山体表面温度観測のため、当所が開発した火山専用空中赤外映像装置
(火山体表面の温度分布について、可視光域から熱赤外域までの波長帯域を9バンドに分割して約1,500℃まで測定可能)をチャータ
ー機に搭載し、昨日(2日)午後5時頃に函館空港を出発し観測を実施しました。 有珠山の上空をほぼ東西に飛行観測して得られたデータを処理し、暫定的な画像を分析した結果、有珠山の山頂火口付近の山体表面の温 度分布を明らかにすることができました。その結果、昨年10月の観測結果と比較して、新たな高温域は山頂火口付近には見られないこと がわかりました。 |
防災科学技術研究所が開発した航空機搭載型多波長走査放射計である火山専用空中赤外映像装置VAM−90A(Volcano Airborne
Multi-spectral scanner)を用いて、有珠山の山体表面温度観測を4月2日午後5時頃より7時頃にかけて実施した。 火山専用空中赤外映像装置VAM−90Aをセスナに搭載し、有珠山をほぼ東西に飛行する、高度2,700m(対地高度2,000 m、基準面高度700m)のコースにより、幅が約2kmの帯状の領域の温度を測定した。 着陸後、観測データの一部をつくばの防災科学技術研究所に伝送し、有珠山山頂火口付近の温度分布について暫定的な結果を得た。下記 に示すように、昨年10月4日の観測結果と比較して、新たな高温域は山頂火口付近には見られないことが明らかとなった。 |
観測日 |
2000/4/2(注1) |
1999/10/4 |
観測時刻 |
17:54 |
08:19−22 |
A |
55℃ |
60℃ |
B |
117℃ |
184℃ |
C |
37℃ |
55℃ |
D |
32℃ |
55℃ |
伊達の気温 室蘭地方気象台 |
1.8℃(18時) |
14.6℃(8時) |
9バンドの波長帯域を同時に観測する。測定温度範囲は−10〜1,500℃(高温用)と−20〜250℃(低温用)である。1画像 に対応する地表面の広さは、温度帯域では1.5ミリラジアン四方(対地高度2,000mで飛行した場合、約3m四方に相当。)温度分解能 は0.1℃程度であるが、物体の放射率や空気中の水蒸気や噴気などによる吸収の影響で、1〜5℃程度の観測誤差がある。 |
バンド |
観測波長帯域 (μm) |
帯域及び 測定温度範囲(℃) |
瞬時視野角 (ミリラジアン) |
1 2 3 4 5 6 7 8 9 |
0.51〜0.59 0.61〜0.69 0.80〜1.10 1.55〜1.75 2.08〜2.35 3.50〜4.20 4.30〜5.50 8.00〜11.0 11.0 〜13.0 |
可視光域 可視光域 近赤外域 中間赤外域 中間赤外域 -10〜1,500 -10〜1,500 -20〜 250 -20〜 250 |
3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 1.5 1.5 1.5 1.5 |